凜と生きる

私が経験した「鬱」というものについて

悲しみと恨み

父が亡くなった時のこと

わたしの体調は最悪だった

しかしやらねばならないことはたくさんあって

薬を飲みながらわたしは動いていた

夫は外面はとてもいい人なので

斎場と駅の送迎をしたり、

そつなく親戚に挨拶したりしていたが

わたしには何も声をかけてくれなかった

焼き場から一度戻って待っている間

夫は「車で寝てくるわ」とわたしを置いて

行ってしまった

わたしはもう立っていられなくて

座布団などが置いてある小部屋に入って

横になっていた

悲しみと辛さで泣けて眠れなかった

 

葬儀中や出棺の時、

車で家族3人で焼き場に向かう時

わたしだけぼろぼろ泣いていた

母も姉も涙ひとつこぼさなかったけど

わたしは泣けてしかたなかった

でも夫は寄り添うこともなく

言葉をかけることもない

 

夫は学生の時に父親を亡くしていて

その時悲しくて泣いたという話を

前に聞いていたので、わたしの時には

一番の理解者になってくれると思っていたのに

夫は全くわたしに気遣うことはない

 

その時のことをわたしはずっと恨んでいた

なぜ?ということが頭から離れない

そしてだいぶ日が経ってから聞いた

「車の中で泣いているわたしに、どうして

何にも声をかけてくれなかったの?」

そしたら夫は言った

「あの時転職することばかり考えてたから」

…「は?」意味がわからない

当時、仕事を変わりたいと思っていたのはわかる

時間がある時はそのことを考えてたのもわかる

でも、でも

わたしの父親の葬儀の時、それしか考えてなかったってどういうこと?

横で親を亡くして泣いている妻のことを見ても

自分の転職のことを優先して考えてたってこと?

もしそうだとしても

せめて嘘でいいから

「何を言っていいかわからなかった」くらい

言えないのか

優しい嘘もつけないのか、この人は

 

ますます怒りと恨みが残った

なんて冷たい人だと思った

 

 

この葬儀の時のことと、以前書いた「転院の時の冷たい言葉」は長年わたしの中に

しこりとして残った

夫としてというより、人としてありえないと

思った

そんな人をわたしは信じられないし好きでは

いられないと思っていた

大切にされてない悲しさと

理解できない人間性に苦しんだ

 

もうこの人に精神面で頼ることはできないな、と感じていた