凜と生きる

私が経験した「鬱」というものについて

事件

子どもが学校に行き、夫が会社に行くのを見送ってドアが閉まった瞬間にわたしは泣き崩れていた

そのまま布団に這うように入り、泣きながら眠る

目が覚めた時何も変わってない現実に絶望してまた泣く

最悪な気分の毎日だった

 

夫はわたしが料理ができなくても怒りはしないが部屋が散らかってくると「掃除しろや」と言う

わたしはその一言が辛いのだ

「できないならしなくてもいい」

「部屋なんて汚れたっていい、できる人が片付ければいい、それよりゆっくり休んで」と

言われたかったのだ

掃除できない自分への罪悪感にまた落ちる

 

夫は一緒に病気を治していこうというよりは

早く治してきて欲しいという感じ

「辛い」と言うと「しんどかったら寝とき」というような答えしか返ってこない

 

 

そのうち土日の夫が仕事の日に子どもと一緒に遊んだりどこかに連れて行くことができないことが辛くなってきた

息子が一人で部屋で遊んでいるのはかわいそうだった

そこで三年生になった春に地域のサッカーチームに入れることにした

息子も入りたいと言った

これで休日は一人でゆっくり横になれる

息子は友達と思い切り体を動かせる

そう思って入った

最初の日、親同士の顔合わせの席で思ってもみなかったことになった

「保護者の中から今年の世話係を決めてもらいます」

そんな!無理だ!そんなことできない体調だからこそ

子どもをここに入れたのに……

けれどNOと言えるわけもなくくじ引きになった

悪い時には悪いことが重なるもので、わたしは

新参者にもかかわらずくじを引き当てた

あまりのショックに顔が引きつる

だめだ、平静を保たなければ変に思われる

焦れば焦るほど混乱して、とうとう涙が出てきてしまった

怪訝な顔をする他のお母さん方の前で挨拶を促される

わたしはなんとか取り繕うとし、断ることなどできないので「やります…」と言うが涙が溢れてしまった

こんな所で泣くなんて最低だ

みんなに変な人と思われた

きっとこのあとずっと噂され、あの時泣いた人というレッテルが貼られるのだ…

 

驚いたコーチが「無理そうなので他の人やってもらえますか?」と言ってわたしは「やりますから、いいですから」と必死で言う

しかしあっという間に代わりの人が決まった

わたしは謝るしかなかった

 

もう、サイアクだ  消えてしまいたい

 

この後長い間この事件をひきずった

お母さん方は変わりなく話してくれたけど

わたしはいつもなんだか恥ずかしくて、卑屈になっていた

息子がどんどんサッカーが好きになったので

辞めることもできなかった

学年が上がる度に「サッカー辞めてもいいよ?」と息子に聞き「辞めない」と答えられて沈んだ