凜と生きる

私が経験した「鬱」というものについて

沼の底

「サッカー事件」の頃が一番鬱が酷かったように覚えている

何をやってもうまくいかない、

何を考えても悪い方にしか思考が回らない

誰の言葉も入ってこない

この1回目の鬱病は丸四年間続いた

わたしはその頃の自分の様子をもうあまり覚えていない

一生忘れることはないと思うくらい辛かったのに

人間は忘れていく生き物なんだな…

ただ暗く長いトンネルにいた記憶はあって、

出口どころかどちらに向かって歩いたらいいのかもわからなかった

いつも心の中で「助けて」と叫んでいたが

聞こえない声に気づいてもらえるわけもない

最悪な気分で起きて、最悪な気分で眠りにつく

本当に本当に辛かった

もう治らないんじゃないかと思っていた

どんな風に日常生活を送っていたのだろう

息子に当時のことを聞いたらわたしがしんどそうにしていたり、家事もせず息子にも何もしてやれなかったことは覚えていなくて

「毎日帰ったら母さんがいたから嬉しかったよ」と言っていた

その言葉にどれだけ救われたか…

そういや一緒にお風呂に入ったり、夜は隣でくっついて眠っていたな…

そんな幸せな時間もあったのだ

息子に暗い影を落とさなくて済んで本当に良かった

 

確か始めにかかった病院である薬が処方され、

その薬の名前を薬剤師の知人に言ったら

「それは統合失調症に出す薬だよ」と言われ

わたしは病院に駆け込んで「なぜこの薬をだすのか?」と食ってかかった

先生は苦笑いのような、少し驚いた顔で薬を変更してくれた

今ならわたしの行動がおかしかったのがわかる

薬はいろんな病気の症状に出されるものだ

統合失調症に異常に反応した私が視野が狭くなっていたのだった

けれど当時のわたしは「あの先生はダメだ」

と病院を変えた

病院を変えたからって病状は変わらず、相変わらずたくさんの薬を飲んでいた

もう薬のない生活は考えられなかった