凜と生きる

私が経験した「鬱」というものについて

逃げ道

鬱を再発してから2回の躁転を経験した

その後の鬱が多分一番酷かった

薬を過剰に飲むことが増えていた頃

最初の鬱の時もたしかにしんどかったが

さすがに20年前の記憶は薄れていて

覚えているのは10年前の再発後のことになってしまう

 

わたしは「森の中サナトリウム」は無理だから

せめて入院したいと思うようになっていた

自宅にいることが辛かった

夫が五年間単身赴任していた頃はまだ家にいてもよかったのだが、戻ってきたから家にいるのが辛くなってしまった

夫との関係が悪化していたというよりは、

わたしが一人で夫に対して不満を持って悩んでいたのだ

とにかく一人になりたかった

息子に寝てばかりの母親を見せたくなかった

とにかく全て放り出して逃げたかったのだ

 

入院できる病院を探し、通院している病院で

紹介状を書いてもらい、少し離れた病院に予約を入れた

入院を希望するなら夫も一緒に来るようにと言われた

 

昔、夫はわたしの診察に付き合うことを頑なに嫌がっていた

例えば車で送るのはいいが絶対一緒に診察室に入りたがらない

どうしてそこまで?というくらい拒否した

なんとか懇願して確か一回だけ同席してもらったが、

全然積極的に医師の話を聞こうとせず

診察後も病気についてわたしと話し合うこともなかった

 

それでも今回はどうしても!と頼み込んで病院に一緒に行った

とてもきれいで大きな病院だった

医師は入院はできる、と言ってからわたしに

問うた

「どうして入院したいの?」

わたしは自然に答えていた

「死んでしまいそうだから」

 

言った自分が一番驚いた

わたし、そんなこと思ってたんだ

だから逃げたかったんだ

その言葉を横で聞いていた夫はどう感じたのだろう

当時は夫の気持ちなんて考えなかったけど

きっとショックだし悲しかっただろう

でも夫は感情を表に出さないのでわからなかった

 

病院の見学をし、個室ならだいたい10日間入ったら10万くらいかかると説明を受けた

わたしは家に帰ってから夫に

「10万出してください」と本気で頼んだ

もう入院を心の中で決めていた

 

そしたら夫は思いがけない言葉を返してきた